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きもちいいサイト

#10

「トントントン…」

整然とした空間に、包丁がまな板を叩く小気味良いリズムが響く。指先に伝わるのは、様々な野菜のみずみずしい生命力そのもの。切り口からのぼる生き生きとした大地の香りが満ちたカット野菜のファクトリー。

はじまりは、カット野菜を製造するベストアグリフーズ様からいただいた、ブランディングのご相談でした。

彼らの事業の本質はなにか。野菜をカットする。それは、色とりどりの野菜たちが、作り手の手によって機能的な美しさも持って生まれ変わっていく瞬間。単なる「作業」という言葉では片付けられない、食べる人のことを考え大きさだけでなく、微妙な形にまでこだわる。それはクラフトマンシップのなせる技。

この気づきから、ひとつの人物像が浮かび上がりました。何気ない日々の営みに、特別なこだわりと喜びを見出せる人。私たちは、ブランディングの目的の一つであるリクルートのターゲットを「クラフト女子」に設定しました。

次なる問いは、この世界観をどう届けるか、でした。

そして生まれたのが、ホームページを訪れる人の「スクロール」という最も基本的な操作を、「野菜を切る」という行為そのものに重ね合わせるアイデアです。ユーザーがページを読み進めるたびに、画面上の野菜がリズミカルにカットされていく。このインタラクティブな体験を通して、カット野菜の仕事が持つ「面白さ」や「こだわり」、「創造性」を、言葉以上に直感的に伝えられないか。それはベストアグリフーズ様のブランド体験そのものとなります。

完成したホームページは、ただ眺めるだけのものではありません。触れていて「気持ちがいい」、何度でもスクロールしたくなる、指先で音を奏でたくなる。それはまるで、心地よい刺激が脳を駆け巡る「ASMR」のようなホームページに辿り着きました。

訪れた誰もが、ひと目で事業そのものと考えまでを理解できる。ベストアグリフーズ様と私たちのクラフトマンシップがマッシュアップを遂げた、忘れがたいプロジェクトのひとつです。

 

株式会社ベストアグリフーズ

https//bafoods.co.jp/

ATSUSHI MARUYAMA
AI TAKASHIMA