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金沢大学様の「博士研究人材支援・研究力強化戦略プロジェクト」の立ち上げに携わりました。プロジェクト名をどうするか、というところからのスタートです。
担当の方々と何度も話し合い、博士人材が未来の社会で活躍する姿を思い描きながら、「ハカセプラス」という名前が生まれました。
博士号を“ゴール”ではなく“スタート”にする。そんな前向きな願いを込めています。
次に考えたのは、どう周知するか。
SNSやWeb広告も考えましたが、メインターゲットはその大学の現役学生。
ならば、まずは現場を見に行こう。そう思って、学内をすみずみまで歩きました。
学生が集まる学食や購買、通学路、掲示スペース。
「ここは掲示OK」「ここはNG」「風が強くて紙が飛ぶ」など、行ってみて初めてわかることばかり。
その結果、貼る場所に合わせて形を変えられるA4ポスターを採用しました。
テトリスのように組み合わせて掲示でき、場所ごとの“最適な形”を取れるように。
さらに、人の手でちぎれる仕様にして「自ら動く博士」を象徴的にデザイン。
ちぎりやすいけれど風では飛ばない絶妙な糊の強度を、何度も検証を重ねて実現しました。
そして、受け皿となるWebサイトもポスターとトンマナを合わせ、自然な導線を設計。
どれも机の上では見えてこなかった発想です。
実際に現場に立ち、空気の流れや人の動線、掲示板の質感を感じて初めて、「このやり方が一番届く」と確信できました。
「デザインは、現場でおきている」私はいつもそう考えています。
どんなに美しい設計図でも、現場を知らなければ本当の意味で“機能する”ものは作れません。それはホームページでも同じ。思い込みだけの設計にならないように、クライアントと綿密な打ち合わせを重ね、一度立ち止まって、使う人の立場で考察すること。
私たちは「なぜつくるか(Why)」をいつも大切にしています。
けれど、同じくらい大事なのは「どうやるか(How)」の部分。
現場に行くことは、Howを確かめる一番の近道です。
今もこのプロジェクトは進化を続けています。
博士人材の活躍を取材してホームページに掲載するフェーズへ。
現場から生まれたデザインが、また次の現場へとつながっていく。
その連鎖の中に、デザインの面白さがあるのだと思います。
Atsushi Maruyama
Ai Takashima
