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ホームページは必要か?──「なぜ」から始める理由

#06

ホームページは、会社の情報をただ並べただけの場所ではありません。そこには、その会社の考え方や雰囲気が、意外なほど正直に表れます。理念や価値観、そして隠しきれない人間味まで。だからホームページは「ブランドと向き合う鏡」なのです。SNSや広告が打ち上げ花火だとすれば、ホームページは焚き火。派手さはなくても、じっくり温もりを伝える場所なのです。
考えてみてください。初めて取引する会社を調べるとき、名刺やチラシを眺めて終わりにしますか? ほとんどの人が、その会社のホームページを検索するでしょう。SNSの投稿や広告では断片的な情報しか拾えませんが、ホームページには全体像が映し出されます。理念や実績はもちろん、「この会社がどういうキャラクターなのか」まで透けて見える。だから訪問者は“品定め”にやって来るのです。

ここで重要なのが「なぜ作るのか」という問い。新規の顧客を呼び込みたいのか、採用を強化したいのか──目的によって、構成もデザインもコピーの口調も変わります。逆にここを飛ばして「なんとなくかっこよく」「古くなったから新しくして」というオーダーをすると、仕上がるのは十中八九“どこかで見たサイト”。テンプレート頼みの華やかさは一瞬で色あせます。
さらに言えば、ホームページは「看板」でもありません。看板は通りすがりの人に一瞬で訴えるもの。でも、ホームページに来るのはわざわざ調べに来た人。つまり“本気モード”の相手です。だから派手なスローガンや流行りに乗っただけのビジュアルよりも、思想や世界観を誠実に伝えることが効く。嘘を混ぜればすぐに見破られますし、逆にらしさの一貫したメッセージはじわじわと信頼に変わります。

もちろん、ブランドを体現するだけでなく、ホームページは実用的な機能も果たします。問い合わせをスムーズに受けたり、資料を探しやすくしたり。つまり「情報伝達の道具」と「ブランドの鏡」の二役を兼ねているのです。両者のバランスをどう取るかが設計の妙。
結論はシンプルです。問いかけるべきは「ホームページは必要か?」ではなく「なぜ必要か?」。この答えを探す過程で、他社との違いや自社の強みが浮かび上がり、ホームページはただの媒体を超えてブランドの一部へと進化します。そう考えると、ホームページは“作ること”より“考えること”こそが本当の投資なのかもしれません。

AI TAKASHIMA
KEIRO NISHI