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撮影であるニッチトップな企業様の工場に入ったときのことを、よく覚えています。
大きな機械音にまぎれて、社員さんの笑い声が響いていた。若い社員さんが生き生きと働き、ベテランさんがそれを支える。そこには数字や待遇の条件欄からは想像できない、熱のある風景がありました。
その空気をどうやって伝えるか──それがその企業様のリクルートサイト制作の出発点でした。
求人票には必要なことは並べられます。給与、勤務時間、休日。もちろん大事です。でも、人が「ここで働こう」と決めるのは、最後はやっぱり感情です。「ここでやってみたい」と心が揺れる瞬間に、未来の仲間は船に乗り込んでくれます。
リクルートサイトは、未来の仲間へのラブレターなのかも知れません。誇れる仕事があるなら、その現場を見せればいい。社員の声を載せるなら、飾らない本音の方がいい。ときには「うちには向かない人もいる」と逆面接のように伝えてしまうのも誠実さだったり。その正直さに共感して応募してくれる人は、もうその時点で“ズレ”を乗り越えています。
フォーマルなコミュニケーションはコーポレートサイトに任せてもいい。リクルートサイトはもっとパーソナルに、会社の“チャーミングな部分”を見せる場であっていいのかも知れません。
SNSに流れる日常の断片とつながっていれば、なおさら自然です。フォーマルなコーポレートサイトが“テレビの中の芸能人”だとすれば、リクルートサイトは“インスタのストーリー”。距離が近く、素顔が見える。その親密さが、未来の仲間の心を動かします。
人は正論だけでは動かない。感情を揺さぶられたときに、自分で「ここに行きたい」と決める。だから大事なのは、愛を持って笑顔や、時には暑苦しいほどの情熱、ちょっとしたユーモアまで含めて、会社の人格を伝えることのように感じます。
リクルートサイトはそのための一通の手紙であり、未来の仲間に向けた“呼びかけ”。誰かの心に届いたとき、その出会いが新しい物語の始まりになるのだと思います。
MINAMI ISHIKAWA
AI TAKASHIMA