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Innocent world

#38

「変わった人ですね」

この言葉は、今において最大の賛辞ではないか。
均質化される解、ネットに溢れる既視感、固着した一般常識。
多くが外の声を拾いすぎ、自分自身の本当の姿を見失う。

一方でそのノイズを遮断し、自らの興味関心の赴くままに突き進む人たちがいる。

先日、さまざまな分野の博士たちを取材する機会があった。
彼らと話をしていて感じたのは、コミュニケーションにおけるその澱みのなさだ。自分の研究対象を語る彼らの言葉には、打算がない。純粋な好奇心だけがそこにはある。

一見すると「変わった人」に映るのかもしれない。
でもそのあり方こそが、人としての純粋性そのものだと感じた。

北海道、十勝の仲間たち。
ハンガリーの国宝であり、絶滅危機にあったマンガリッツァ豚。
その飼育を日本でゼロから始め、何年もの時間をかけて磨き上げているチームがある。

精肉からシャルキュトリまで、じっくりとひたすらに向き合い続けている。
彼らのその姿も、前述した博士たちと同じく、自らの信じる道をひたすらに歩む者の強さと、潔い魅力を持っている。彼らもまた、「変わった人」の一つの表現者だ。

いずれも、自分の好きを大切にし、興味赴くまま、時にはどうにもならないような課題にぶつかっても、逃げずに向き合い続けてきた結果の圧倒的な「らしさ」の姿。

個人的な話を聞けば、たまらなく辛い過去や押しつぶされそうな葛藤をちゃんと背負っている。でも頭を上げ、前を向き歩く。

夢中であること。
愛おしきミスターチルドレン。

僕らのデザインというのは、そんな変わった人たちの真髄を深く知れる特等席で仕事をする。一方、その特等席で浴びる熱に焼かれぬよう、当たり前に僕らも同じ熱を帯びて対峙する。

そのひとつひとつが、人生に刻まれていく愛おしい時間だと感じている。

KEIRO NISHI