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私は、常に頭を回している。
仕事のこと、子供のこと、未来のこと。気づけば思考が絡まり、ぐちゃぐちゃになる。だから、ときどきリセットが必要になる。
いちばん簡単なのは、単純作業の掃除。
頭を使わなくても、目の前のものが整っていく。散らかっていた空間がすっきりすると、不思議と気持ちも整う。整理整頓は、どこかデザインにも似ている部分がある。余計なものを削ぎ落とし、相手にとって必要な形に整える作業だ。私はこの作業が好きなのかもしれない。
でも、頭を整理する方法はそれだけじゃない。自然を感じること。
水仙や菖蒲、鶯の声、季節の匂い。春が来て、桜が咲いて、あっという間に散る。その儚さに少し寂しくなる。夏の終わりも、秋の始まりも同じだ。日常の中で見落としがちな当たり前の風景の中に焦点を合わせ、耳を傾ける。そうすることで自然とこころのチューニングが合う気がする。
けれど結局、いちばん効くのはシンプルなことなのかもしれない。
リアルで人に会うこと。
他愛のない会話をすること。明日ご飯行こう、と気軽に言える関係。画面越しではなく、同じ空気の中で笑う時間。そこには、理屈ではない回復力がある。
考えてもキリがないことは、考えない。
すぐ痛くなり、モヤモヤし、そんな自分にまたイラッとする。でも、それも含めて自分だと受け止める。
キモチを整える方法は、特別なものではない。
掃除をすること。
泣くこと。
季節を感じること。
そして、人と会うこと。
思考を止めるのではなく、
思考をいったん脇に置く。
それだけで、また少し、前を向ける。
MINAMI ISHIKAWA
